【2026年度(令和8年度)税制改正】178万円の壁・暗号資産・40万円特例など、個人と中小企業への影響を解説

2025年12月19日、「令和8年度 税制改正大綱」が発表されました。

今回の改正は「手取りを増やす」「物価高への対応」がキーワードになっているようです。

個人や中小企業に影響のありそうなトピックをお伝えします。

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「年収の壁」がさらに拡大。160万円から178万円へ

所得税がかかり始める年収のライン(非課税枠)が、段階的に引き上げられています。

  • これまでの流れ:長らく「103万円」でしたが、2025年(令和7年)から「160万円」に引き上げ。
  • 今回の改正:2026年(令和8年)からは、さらに広がり「178万円」になります。
  • メリット:パートやアルバイトの方や、家族に給与を支払っている個人事業主にとっても、税金を気にせず受け取れる金額が増えます。
期間年収の壁(非課税枠)月収の目安
2024年まで103万円約 8.5万円
2025年(現在)160万円約 13.3万円
2026年(改正後)178万円約 14.8万円

暗号資産(仮想通貨)の税金が「一律20%」へ

これまで総合課税で最大55%の税率だった暗号資産の税制が、株や投資信託と同じ一律20%の課税ルールに統一されます。

これまで「暗号資産で大きく利益が出ても半分以上税金で持っていかれる」と悩んでいた方にとってはやっときたかという感じでしょうか。

損失の持ち越し(損失を翌年以降の利益から控除できる)も3年間可能になります。

ただ、適用開始時期は2028年1月の見込みとなっており、まだ少々先です。

現在改正後
税率最大 55% (住民税含む)一律 20% (住民税含む)
課税方法総合課税(他の年収と合算)分離課税(利益にのみ一律課税)
損失の繰越できない3年間可能
損益通算仮想通貨同士のみOK株やFXの利益・損失と相殺OK

40万円未満のパソコンや備品が「一括で経費」に

これまでは、パソコンや備品を買った際に一度に経費にできるラインとして「30万円」がひとつの大きな壁でした。

今回の改正でこの枠が「40万円」に広がります。

  • これまで「30万円未満」だった一括で経費にできる基準が、「40万円未満」に引き上げられます。
  • メリット:高機能なPCや設備を導入した際、その年の経費として全額処理できるため、その年の節税効果が高くなります。

中小企業は「賃上げ促進税制」が継続

従業員の給料を一定以上上げた場合に、会社の税金が安くなる制度です。

大企業は廃止されますが、中小企業は引き続き制度が維持されます。

インボイス制度の「負担軽減ルール」を柔軟に運用

現在インボイス制度は急激な負担を軽減するため、売上にかかる消費税の「2割」を納めるという経過措置がとられています。

その経過措置が来年で終了する予定でしたが、それが見直され、個人については今回の改正で次は3割でいいよ」というルールになります。

2026年(令和8年)9月分まで→「2割特例」(売上でもらった消費税の20%を納税)

2026年(令和8年)10月分から→「3割特例」(売上でもらった消費税の30%を納税)

期間使える特例納税額の計算式
2026年(令和8年)9月まで2割特例売上の消費税 × 20%
2026年(令和8年)10月 ~2028年(令和10年)9月3割特例売上の消費税 × 30%

この特例は申告時に選択できるため、特例と原則どちらが有利かは引き続き検討する必要があります。

また、2年前の売上が1,000万円以下である必要があります。

法人については3割特例の適用は今のところ予定されていないようなので、法人化のタイミングなど影響を考える必要がありそうです。

まとめ

税金の仕組みが大きく変わる時期は、将来のお金の計画や事業計画を見直してみるいいきっかけにもなります。

ご自身が活用できる優遇策がないか、今のうちからチェックしてみましょう。